【東急大井町線九品仏駅】扉を全て開けない踏切に挟まれたホームの駅

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九品仏駅ホーム上下線列車停車中
ここは東京某所にある駅、ホームは踏切によって途切れており、すべての車両のドアを開くことができません。踏切奥のホームは、車掌だけが降り立つことを許された聖域。

九品仏駅踏切からのドアカット風景
ホームからはみ出す個所の扉を開けさせない処置を、ドアカットといいます。利用者急増による車両の大型化によって、ホームからはみ出してしまうために行われます。東京の私鉄の中でも東京急行電鉄はこのような駅がいくつかありましたが、現在は東急大井町線のここ九品仏駅のみとなっています。

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東急大井町線、東京急行横断線

大井町駅駅舎
東京都品川区の大井町駅、3つの鉄道会社が集中する大きい駅です。近くには劇団四季の専用劇場もあります。

東急大井町線普通列車
その大井町駅を始発とする東急大井町線は、世田谷線と多摩川線を除いた東京急行電鉄全路線と接続し、最後に田園都市線に直通する運航形態となっています。

東急大井町線ステッカー
そんな大井町線を説明するのにあたって大変わかりやすい図がこちらです。上の写真は、大井町線で使われる列車に貼られているステッカーです。中心を貫く大きな矢印が大井町線、そして二子玉川駅から色違いであらわされた路線が交差しており、それぞれ田園都市線・東横線・目黒線・池上線の順に接続していることがわかります。

東急大井町線急行列車
ちなみに急行も運行されており、5両の普通列車よりも長い6両編成の専用車両で運転されています。急行の停車駅は、各東急線の接続駅のみに停車するようになっています。

開かないドア、その理由

東急大井町線大井町駅九品仏駅案内
さて大井町駅のホームには、さっそくこんな案内があります。

九品仏駅では電車のドアーが一部開きませんのでご注意ください。

ドアが開かない車両は、二子玉川方面の先頭車両です。

東急大井町線九品仏ドアカットステッカー
大井町線で使われている普通列車の車内には、こんなステッカーが・・・。

このドアは九品仏駅では開きません。ご注意ください。東急電鉄

九品仏駅ホーム上下線列車停車中
そして東急電車に揺られて九品仏駅につきました。ここで降りて二子玉川方面を見てみます。先頭車両がホームからはみ出してしまい、ドアが開いていません。特に写真のように上下線両方が停車している状態では、かなり窮屈さが否めません。

踏切に挟まれた駅舎

九品仏駅周辺地図
九品仏駅は、世田谷区の奥沢に位置しています。近くにある寺「九品仏浄真寺」の最寄り駅です。九品仏駅の中にある地図を見てみると、ホーム両端が道で挟まれた状態となっています。

東急大井町線九品仏駅舎
九品仏駅の駅舎です。橋上化されておらず、小ぶりな駅舎がホーム端にあります。上下線の線路が駅舎を挟む形となっており、列車が通るたびに駅から降りた乗客が踏切に閉じ込められる構造となっています。

東急大井町線自由が丘6号踏切
そんな九品仏駅の駅舎を挟むのが、こちら自由が丘6号踏切です。こちらがホームの一方を挟む1つ目の踏切となります。駅の周りは商店街が立ち並んでおり、土地の余裕がない様です。

車掌だけが降りることを許されたホームを目指して

東急大井町線九品仏1号踏切
さて、もう一方のホームを挟んでいる踏切に到着しました。こちらが九品仏1号踏切です。閑静な住宅街の中にある踏切ですが・・・

九品仏1号踏切から見た九品仏駅ホーム
踏切を渡る途中には、九品仏駅のホームが見えます。そんなホームは本来ある奥の石造りとは異なり、手前部分は急遽鉄骨造りで1両分伸ばしてあることがわかります。

九品仏駅車掌用ホーム
一方反対側を見てみると、木造のホームが。それどころかどうやって降りるのでしょうか・・・。車掌用の監視モニター以外は、この空間だけ時代から取り残されたような風景です。ともあれ石造りと鉄骨、そして木造と3種類でつくられたホームを見ることができる風景です。

九品仏駅踏切からのドアカット風景
そんな九品仏1号踏切に列車がやってきました。電車が駅に到着すると、この踏切は鳴りっぱなしになります。御覧の通り、踏切や木造ホームの部分の扉は開きません。

九品仏駅車掌用ホーム使用中
御覧の通り木造ホームに降りることができるのは、ホームを監視するモニターを見る車掌だけです。

訪問後記、そのドアカット解消の唯一の方法は・・・

東京急行電鉄でドアカットしていた駅は、東横線で代官山と菊名、目蒲線の鵜の木、大井町線で戸越公園がありました。これらは踏切廃止・移設とホーム延伸、および運行車両を減らす事によってドアカットがなくなりました。では九品仏駅の場合はどうでしょうか・・・。

九品仏駅踏切からのドアカット風景
九品仏駅ではホーム両端が道で挟まれており、ホームの移設および踏切への対応ができないのです。そのためいまだに東急の中で唯一ドアカットを行う駅として残っているのです。

東急大井町線5両編成最前部ステッカー
ならば運行車両を適切にする方法ですが・・・現在大井町線は普通列車は5両、九品仏を通過する急行列車は6両で運行しています。しかし各東急路線を結ぶ役割を担っている大井町線の需要は増え続けている状態であり、2018年に急行列車を7両にすることが発表されました。つまり運行車両を減らすどころか、むしろ間に合わない状態となっているのです。

東急大井町線大岡山駅ホーム
ではそんなドアカットを解消する方法は、高架化や地下化しかないと考えられます。東急も高架化事業及び地下化事業を様々な区間で行っています。特に写真のような大岡山駅のホームでは、目黒線と同じホームで乗り換えができるような改良がなされています。

九品仏駅ホーム上下線列車停車中
しかし現在のところ、ここ九品仏周辺での高架化や地下化の計画はありません。踏切に挟まれて全て扉を開けない・・・そんな風景は当分続くようでした。不便ながらも鉄道とともに生きるこの街の風景を、しばらく見守っていこうと思います。

それでは、また不思議な鉄道風景でお会いしましょう。

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