【タイ国鉄ターナレーン駅】ラオスでただ1つしか存在しない鉄道駅

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タイ国鉄ターナレーン駅列車とホーム
朝日を浴びる列車と駅、日本ではあまり珍しい風景とは言えないかもしれません。でも国が変われば1日2回唯一この場所しか起きない珍しい出来事です・・・

タイ国鉄ターナレーン駅駅舎
ラオスの首都ヴィエンチャンにあるターナレーン駅又はタナレーン駅(THANALENG)、又は現地の名前からドンポーサイ駅(DONGPHOSY)とも呼ばれています。ターナレーン駅は、ラオス全土で1つしか存在しない唯一の鉄道駅です。現在ラオスは鉄道輸送公社を含めて独自で鉄道運営する会社や公団が存在せず、1日2本タイ国鉄の車両が国境を越えてこの駅を訪れます。

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東南アジアにある慎ましき国

ラオス政府庁舎
東南アジアの内陸国、ラオス人民民主共和国。独立闘争が終わった1975年に共産主義政権が成立して今に至る、東南アジア最後の秘境ともいわれる社会主義国です。首都はタイ国境が通るメコン川沿岸の都市、ヴィエンチャンです。

ラオスのアヌサーワリー・パトゥーサイ
写真はヴィエンチャンで唯一のランドマークともいわれる、アヌサーワリー・パトゥーサイ(凱旋門)です。1975年に現政権によるラオス解放を記念して、パリの凱旋門をもじって建設されたものです。しかし財政難につき、政権樹立から半世紀近くたった今も未完成のままとなっています。

ラオスのタート・ルアン
こちらはタートルアン、金に装飾された特徴的な寺院です。紀元前の王朝時代から修復され続けているともいわれており、ラオスの国章にも書かれる代表的な仏教建築です。

ラオス・ヴィエンチャンの街並み
しかしこれら数ある名所や仏教建築以外に目を向けてみると、首都でありながら高層ビルも、大規模なショッピングモールも、そして地下鉄も、これといった特徴も何もない穏やかな街の風景が見られます。人口も首都でありながら約70万人という大都市とは言い難い規模です。そのため穏やかな時間の流れを感じることができるヴィエンチャンの町巡りは、都会の喧騒を嫌う旅行客の間では今人気が上がっているそうです。

鉄道?駅?なにそれ?


さてヴィエンチャン観光もこの位にしまして・・・ラオスは主にバスが主な交通手段となります。地図はヴィエンチャンにあるタラートサオバスターミナル(又はKhua Din Bus Station)です。

ラオスのヴィエンチャン・タラートサオバスターミナル
こちらがそのバスターミナルです。ヴィエンチャン市内にはほかにも様々なバスターミナルがあります。しかしタラートサオバスターミナルは、隣国タイ行きの国際バスやヴィエンチャン市内の観光名所を巡る循環バスを含め、ラオスの全公共交通機関で一番重要な拠点といっても過言ではありません。ヴィエンチャンから各目的地へ向かう場合、まずはここへ行きましょう。


そんな私が行きたい目的地は、こちらの「ターナレーン駅」になります。しかし駅へ向かうバスはなく、トゥクトゥク(荷台付きバイクタクシー)の運転士さんに聞いても「行っても仕方がない所だよ。」といわれました。

タイ=ラオス友好橋国境付近
行っても仕方がない場所・・・その理由は後々明らかになりますが、まずはタイ側にある対岸の町ノーンカーイ行きの国際バスに乗って一度タイへ向かいます。写真は道中に通った、メコン川を跨ぐ「タイ=ラオス友好橋」です。この橋の途中には手前側にラオス国旗、奥側にタイ国旗・・・つまりこの間が国境がとおっています。

王国の列車で社会主義の国へ


ヴィエンチャンからメコン川をはさんでタイ側にある町、ノーンカーイにたどり着きました。ラオスの人たちも多く訪れます。

タイ国鉄ノーンカーイ駅
タイ国鉄のノーンカーイ駅、メコン川手前ことラオス国境の一歩手前に位置する駅です。バンコクからは昼行・夜行問わず1日数本ノーンカーイ駅行きの列車が運行されており、タイ国鉄東北本線を経由して12時間ほどでたどり着くことができます。

タイ国鉄ノーンカーイ駅駅名標
ノーンカーイ駅の駅名標です。隣の駅は「ターナレーン」「ラオス人民民主共和国」と書かれています。東北本線は2009年にラオスのターナレーン駅に延伸を果たし、ノーンカーイ駅は長年にわたる終着駅の役割を譲ることになりました。しかし現在もバンコク始発の列車は全てノーンカーイ駅止まりになっており、ターナレーン駅へ向かう場合は越境専用列車に乗り継ぐ必要があります。

タイ国鉄ノーンカーイ駅ラオス行き列車
さてそのラオスへ向かう越境列車が、こちらの珍しくきれいな車両になります。約6kmの距離を15分ほどかけてラオスに越境します。

タイ国鉄ノーンカーイ駅ターナレーン行き時刻表
越境列車の時刻表です。7時30分と14時45分発のみ1日2往復となっています。料金は2等で30バーツ、3等で20バーツです。現在は3等のみの案内となっているようです。

ターミナル駅で入国審査

タイ国鉄ターナレーン駅列車とホーム
越境列車に揺られること15分、ようやくターナレーン駅に到着しました。ターナレーン駅は2つのホームと5本の線路がありますが、現在は駅舎側のホームと線路しか使われていません、

タイ国鉄ターナレーン駅入国審査
本当は直ぐに飛び出して写真を撮りまくりたい気分ですが、今の私の身分では密入国になります。まずはラオスの入国審査の窓口に並びます。荷物検査はないものの、この行列で30分ほどかかりました。手続きが厳しいのか緩慢なのか、理由は果たして・・・。

タイ国鉄ターナレーン駅入国審査後
入国審査が終わった後は、窓口が閉まります。列車のエンジンも止められて、駅は再び静かな空間となります。

タイ国鉄ターナレーン駅出国審査窓口
ちなみに駅舎の中には出国審査の窓口があります。こちらも列車が発車する時間帯以外は、写真のように静かな空間に包まれます。

国唯一の駅は、陸の孤島・・・

タイ国鉄ターナレーン駅駅舎
こちらがターナレーン駅の駅舎となります。2018年当時発着する路線バスはありませんでしたが、列車到着時は優し~いトゥクトゥクの運転士様が大変なお出迎えをしてくれます。しかしそれ以外の時間帯は完全に交通手段がなくなります。

タイ国鉄ターナレーン駅駅前通り
そんなラオス唯一の駅ターナレーン駅の駅前通りです。期待していたわけではないですが、何にもありません。私のような鉄道ファン以外は、本当に「行っても仕方がない場所」・・・でしょう。ちなみにこのまま進むと、国境検問所とタイ=ラオス友好橋に行くことができます。

タイ国鉄ターナレーン駅終端
そんなターナレーン駅の終点方向です。車止めしかないにもかかわらず赤信号がともっていました。ここからさらに約30kmを進ませてビエンチャン市内に向かう延伸計画があるそうです。

この駅を訪れたい方へ

ラオスのヴィエンチャン・タラートサオバスターミナル
先述しましたが、ヴィエンチャン市内の駅でありながら、ラオス側からターナレーン駅を訪問するのは逆に非効率でした。方法としてはバスターミナルから友好橋行きのバスに乗り、そこから徒歩およびトゥクトゥクで駅に向かうしかありません。それもトゥクトゥクの運転士さんに「国境は目の前の橋を渡りゃええのに、なんでそんな所へ・・・」と言われることでしょう。

タイ国鉄バンコク駅特急25号ノーンカーイ行き
私がおすすめするのはタイ側、しかもバンコク駅で寝台列車に乗って向かう方法です。その寝台特急列車は、バンコク駅から20時発の特急25号ノーンカーイ行きに乗ることです。特急25号は寝台車を併結した新型車両で快適なうえ、ノーンカーイ駅には6時45分に到着するため、7月30分発の越境列車にスムーズに乗り継げます。なおタイ国鉄は遅延が当たり前で、訪問時も特急25号の到着が遅れました。しかし越境列車もそれに合わせるように、発車時刻を遅らせる処置をしてくれました。

タイ国鉄ターナレーン駅駅前通り
そして最大の問題が、ターナレーン駅のヴィエンチャンへ向かう公共交通機関がないことです。ヴィエンチャンへ向かうにはトゥクトゥクを呼ぶ必要があります。ところが、今回訪問した時は心配無用でした。

タイ国鉄ラオス越境列車切符案内
実はノーンカーイ駅でターナレーン行きの越境列車の切符を買う時、こんな案内を見せられました。これはターナレーン駅からヴィエンチャン市内へ向かうミニバス送迎付きの切符を売っているよとのことです。ちなみに300バーツつまり約1000円でした、越境列車が20バーツでしたので割高に感じてしまうのは私だけでしょうか・・・。それでも鉄道で越境できるかつ一番確実にヴィエンチャンに向かうことができる、鉄道好きの旅行者にはうれしいプランです。さすが考えたな、タイ国鉄・・・。

さいごに

タイ国鉄ターナレーン駅入国審査後
ラオスに1つしかない鉄道駅、ターナレーン駅。それはメコン川を越えてタイからやってくる鉄道客の入国審査の場としての役割が強く感じました。そして駅前にホテルや商店はおろか交通機関もない、・・・鉄道の駅をどのように扱うべきか、そしてどのような恩恵をもたらしてくれるか、この風景を見る限りこの国はまだ分かっていないのかもしれません。とある1つの国に鉄道が初めてやってきた、そんなような風景がそこにありました。

タイ国鉄ターナレーン駅駅舎
そして線路が向かう方向は首都ヴィエンチャンの中心部です。ターナレーン駅はラオスに越境するために設置され、かつヴィエンチャン延伸に備えるための暫定的な終着駅であるようでした。ヴィエンチャンへ延伸した暁には、この駅はどうなるのかはわかりません。存在感が薄くなるものの途中駅として残されるのか、それとも過去の存在にされてしまうのか・・・決めるのはこの国自身でもあるのですから。

それではまた不思議な鉄道風景でお会いしましょう。

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