【常磐線偕楽園駅】梅の花が咲く時しか営業しない臨時駅

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偕楽園梅まつりと常磐線偕楽園駅ホーム

ここは江戸時代から親しまれている日本庭園、春の訪れを祝う「梅まつり」の真っ最中。その梅の花が開くその瞬間、その駅は1年の長い眠りから目を覚ます・・・

常磐線偕楽園駅ホームと特急ひたち俯瞰

常磐線偕楽園駅。日本三大庭園の一つ、偕楽園に隣接する形で設置されています。しかし梅の開花時期の下り列車のみ停車し、それ以外は全ての列車が通過する臨時駅です。

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常陸の国の日本庭園は、梅の花咲く頃

水戸駅北口駅舎

茨城県水戸市中心部にある水戸駅、茨城県及び水戸市の代表駅であり、常磐線、水郡線、そして鹿島臨海鉄道大洗鹿島線が乗り入れるターミナル駅でもあります。

水戸駅北口水戸黄門像

水戸駅の北口には、水戸藩主の一人であった徳川光圀の銅像があります。創作ではありますが、身分を隠して全国を行脚しつつ勧善懲悪で締めくくるドラマ「水戸黄門」の主人公でもあります。そのような逸話を含め、鎖国政策をとっていた江戸時代において一足先の先進的な考えを持つ人物だったともいわれています。

水戸駅北口水戸黄門像と梅の花

水戸を訪問した時は春が始まったばかりの3月、ご老公一行の前には梅の花が咲いています。この時期、水戸一帯では例年「水戸の梅まつり」と呼ばれる大きな祭りが開かれています。

偕楽園常盤神社鳥居と梅の花

こちらは偕楽園の敷地内にある常盤神社、水戸黄門で有名な徳川光圀、および偕楽園を造成した徳川斉昭を祭っています。神社の脇には梅の花1本がささやかに咲いていますが、偕楽園全体では100品種3000本以上もの梅の花が植えられています。

常磐線特急ひたちと偕楽園の梅の花

そして偕楽園の梅の花の中を切り開く常磐線の特急ひたち号、その風景は圧巻でもあります。「水戸の梅まつり」は、例年2月半ばから3月末まで開かれます。

http://www.mitokoumon.com/festival/ume.html

春の訪れ、臨時駅は梅と共に目を覚ます

常磐線偕楽園駅ホームと特急ひたち俯瞰

ところで水戸駅に向かうはずのその特急列車は、突然目の前に停車しました。停車した場所には偕楽園に隣り合った場所にホームが設置されており、偕楽園に向かう乗客がどんどん降りていきました。

常磐線偕楽園駅通過する上り普通列車

その水戸方面への特急列車が停車したこの駅・・・上野方面のホームがありません。そのため写真のように上野行きの普通列車は通過するのに、いわき行きの特急列車は停車するという不思議な光景が・・・この駅は何なのでしょうか?

常磐線偕楽園駅周辺路線図

これは石岡駅での運賃表です。常磐線はこの先、羽鳥・岩間・友部・内原・赤塚、そして水戸・勝田の順に止まっていくことは把握できます。ところが先ほどの偕楽園にあった駅は、この案内には一切書かれていないのです。

常磐線偕楽園停車発車案内

しかし発車案内を見ると、水戸方面の列車に「偕楽園に停車」という見慣れない案内表示が・・・春の初めとなるこの時期に突然現れる案内です。無論先ほどの路線図には、偕楽園という駅は書かれていません

常磐線普通列車偕楽園駅車内案内

ちなみに乗車した列車にも、赤塚駅発車後に「次は 偕楽園」と表示されます。そして自動放送でも臨時という言葉もなく、他の普通の駅と同じように案内されます。

常磐線偕楽園駅ホーム前面展望

列車の前を見ると、先ほど見た偕楽園駅のホームが見えます。ご覧のように水戸方面のみホームが設置されており、上野方面には駅の施設等全くありません

常磐線偕楽園駅ホームと普通列車

偕楽園駅に到着しました。偕楽園駅のホームの全長は、10両編成がぎりぎり止まることができる位の長さです。

この動画は普通列車が停車する様子を撮影したものです。臨時駅ではありますが、しっかりと自動の案内放送があります。

偕楽園の乗客を降ろした後は、すぐに扉を閉めて水戸駅へ去っていきます。動画の通り乗客は多く、正味1分弱停車していました。

花同じくして・・・1年で半月だけの営業

全体的に常磐線は上野から仙台まで南北に駆け抜けるルートですが、友部から水戸までの区間は東西に貫くように走ります。そして水戸駅手前で偕楽園南側に寄り添うように走っており、千波湖と偕楽園に挟まれた場所に偕楽園駅が設置されています

常磐線偕楽園駅駅名標

偕楽園駅の駅名標です。偕楽園駅は赤塚と水戸の間、水戸駅からおよそ1.0km程上野寄りに設置されています。「およそ」という言い方の理由は、臨時駅のために正確な距離が設定されていないからです。

常磐線偕楽園駅案内看板

そのような事情故、偕楽園駅には上のような案内看板があります。

ご案内

ようこそ水戸の梅まつりにお越しいただきまして誠にありがとうございます。
当駅は、臨時駅のため簡易の自動改札機となっております。(チャージは出来ません)
スイカ等のIC乗車券をご利用のお客様は、お手持ちのIC乗車券を自動改札機へ「タッチ」をしてお降りください。「乗車券」をお持ちのお客様は係員へお渡しください。
その際、係員より「精算券」をお受け取りください。
精算する場合、お時間をいただくことがございますのでご了承ください。
入場の際は精算券」を係員に提示してご入場ください。
なお、上りホームはございません。上り方面へお帰りのお客様は下り列車に乗車し、水戸方面で上り列車にお乗り換えください。

水戸駅長

この案内の内容は記事の終盤で詳しく説明いたしますが、いずれにしても水戸の梅まつりのための駅であるということが書かれています。

常磐線偕楽園改札口

偕楽園駅は、ホーム中央に出入り口があります。駅員どころか茨木県警の巡査もいらっしゃいますので、ある意味安全です。臨時駅のはずですが、案内の通りICの改札機および精算所を備えた事務所もあり、かなり設備的には立派です。

常磐線偕楽園駅時刻表

偕楽園駅の時刻表です。9時から15時半までの特急を含めた水戸方面の全列車が、おまけとして立ち寄るような運航となっております。そして開設日の記載通り、2月下旬から3月までの土日祝日しか停車しません。つまり実質1年に半月ほどしか実働しないことになります。

常磐線偕楽園駅駅舎

偕楽園駅の出入り口と駅舎です。1年のうちに半月ほどしか使われない偕楽園駅ですが、2016年に改築され、かなり立派な装いになっています。

偕楽園梅まつりと常磐線偕楽園駅ホーム

常盤神社の階段から見た偕楽園駅です。水戸徳川家一族も、梅の花が咲くこの光景を愛でていたことでしょう。そんな常盤神社の鳥居の下に、この時期だけ列車が止まる風景が加わっています。

この駅を訪れたい方へ、お得な途中下車はICではなく切符を買おう!

常磐線偕楽園駅ホームと特急ひたち俯瞰

先ほどもお伝えしたように、偕楽園駅は「水戸の梅まつり」が開催される2月半ばから3月末の土日祝日のみ営業し、なおかつ9時から15時半の間に到着予定の水戸方面の列車のみです。そのため偕楽園駅を利用する場合は以下のようになります。

  • 水戸方面の列車で偕楽園駅を利用する場合
    ⇒水戸方面の列車は偕楽園駅に停車します
  • 偕楽園駅から上野方面の列車に乗りたい場合
    上野方面の列車は停車しません。水戸方面の列車で水戸駅へ一度向かってから上野方面の列車に乗る必要があります
  • 水戸以北から上野方面の列車で偕楽園駅を訪問したい場合
    上野方面の列車は停車しません。赤塚駅で再び水戸方面の列車に乗る必要があります
    (単に偕楽園を訪問したい場合は、水戸駅で偕楽園行のバスに乗ったほうが早いです)
常磐線偕楽園改札口

そして偕楽園駅は運賃計算のための距離が決められていないため、偕楽園発着の切符はありません。そのため隣の赤塚駅および水戸駅まで一区間乗車する場合でも、赤塚~水戸間の切符を買うことになります。つまり偕楽園駅を利用すると、ケースバイケースで水戸駅もしくは赤塚駅行きとして計算されるのです。

常磐線偕楽園駅購入切符

例えばSuicaやPasmoなどのICカードで訪問した場合、上野からだと水戸までの区間分、水戸からだと赤塚までの区間分の運賃が支払うことになります。そして偕楽園駅から水戸駅まで乗車する場合は、このように「赤塚→水戸」の片道乗車券190円を支払う必要があります。

常磐線偕楽園精算券

ところが赤塚以南(上野)から水戸駅への切符を持っている場合、偕楽園駅の途中下車が実質可能になる特例があります。まず窓口で水戸行きの切符を渡すと、引換えとしてこのような精算済証明書を渡されます。そして偕楽園駅から水戸駅へ向かう時にこの精算済証明書を偕楽園駅と水戸駅の有人改札口に見せることで、この片道運賃分190円を支払う必要なく乗車できるのです。

水戸駅北口駅舎

この偕楽園駅での途中下車の特例は、常磐線下り列車で水戸駅で下車および鹿島臨海鉄道に乗り換える人は得することになります。この場合はICカードを使わずに水戸行きの切符を購入しましょう。

常磐線特急ひたちと偕楽園の梅の花

春の足音が聞こえてくるとき、常磐線は偕楽園の梅の花をかき分けながら今日も走り続ける・・・それではまた不思議な鉄道風景で。

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